“さがしています。こんな本”
月刊「こどもの本」2012年8月号より
夏休みにおくる自然科学の本2012
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イザベル・トーマス著/今西 大 訳(鈴木出版 1800円)もしも、ゾウとサイが対決することになったら、さて、どっちに軍配があがるでしょう? 5ラウンド制の対決という形式でその生態について詳しく見ていく本書は、自由研究にもぴったり。しかも切り口がおもしろい! 夏休みに動物園などに行って観察してみましょう。シリーズでほかに4冊あります。全部読んで動物博士になっちゃおう!(小学低学年から) |
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亀田龍吉 写真・文(世界文化社 1500円)身近な雑草80種を選び、それぞれの雑草の呼び名と名前の由来を紹介しています。草姿、花、実といった雑草の特徴をキリヌキ写真と生態写真を駆使して構成しましたので、見やすくわかりやすい内容になっています。また、デザイン的にも美しく、見て、読むだけでも楽しめ、実際に雑草を見つけたりする上で大活躍することと思います。(中学から) |
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NHKエデュケーショナル編(汐文社 2300円)レモン電池で車を動かそう! 塩でウェディングドレスをつくろう! NHKテレビで人気の科学番組「NHK大科学実験」が写真絵本になりました。1400個ものレモン電池をつかった手作り電池カーなど、スケールの大きな実験は見ているだけでも楽しめます。この本をヒントに、自分でもできる方法で、夏休みに実験にとりくんでみませんか。(小学高学年から) |
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太田 威 写真・文(福音館書店 1200円)縄文人もその実を食べ、利用していたトチの木。著者の太田威さんは、山形県鶴岡の大山地区に居を構えて、地元山形や東北地方の自然写真を撮ってきました。なかでも特に、トチの木と山里の人々の暮らしのつながりを、30年にもわたって取材し、写真で記録してきました。カタクリの花咲く早春から雪に埋もれる冬までの、四季を追っていきます。(小学低学年) |
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中島秀雄・他著(PHP研究所 2800円)日本で見られるチョウとガから126種を選び、その生態を写真とともに紹介。幼虫は弱くて無防備なため、鳥のえさになりがちですが、それを防ぐために、身をかくしたり、逆に敵をおどしたりする「擬態」といわれる知恵を身につけています。なかには毒をもった幼虫も。不思議な姿と生態におどろくとともに、生物の多様性を感じさせる図鑑です。(小学高学年から) |
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バイロン・バートン さく・え/なかがわちひろ やく(徳間書店 1300円)むかしむかし大むかし、地球にはきょうりゅうがたくさんすんでいた。角があるのや、首がながいの、しっぽがながいの、いろんな種類のきょうりゅうがいた…。ページをめくると次々にきょうりゅうたちがあらわれ、楽しさが広がります。明るくポップな色彩で、のびのびと描かれた、小さな子どもに人気の定番絵本。初めてのきょうりゅう絵本に最適。(3歳から) |
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アリス・B・マクギンティ 文/メアリー・アゼアリアン 絵/千葉茂樹 訳(BL出版 1600円)『種の起源』を出し、進化論で知られるチャールズ・ダーウィン。しかし出版するまでには、深い苦悩と葛藤がありました。教会の教えが絶対であったそれまでの価値観を変えてしまい、神への冒涜につながるのでは? そんな恐れと闘いながら、それでも科学への情熱を貫いた彼の生涯を、日記や手紙、メモなどを折り込んで描く伝記絵本。(小学高学年) |
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スギヤマカナヨ 作/畠山重篤 監修(講談社 1300円)山に木を植えると、やがて森が形成されます。森で生まれた養分は川を伝って海へと注ぎ、魚のえさとなるプランクトンの生長を促します。そしてプランクトンを育んだ豊かな海は、多くの恵みを私たちに与えてくれるのです。本書は森・川・海の連関、さらには人と生き物のつながりを、愛らしく美しいイラストでつづっていきます。(小学低学年から) |
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アトリエモレリ 作・絵/久居宣夫 監修(リブリオ出版 1500円)カイコは蛾の仲間で卵からかえり、50日ぐらいで一生を終えます。その間、幼虫、サナギ、成虫と姿を変えますが、他の蛾やチョウのようには飛べません。が、カイコから作られるマユは古くから私たちの生活に役立ってきました。カイコを育てながら、人間の暮らしと自然の関係や産業について考える1冊。(小学中学年から) |
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今森光彦 構成・写真/阪口浩平 監修/宮武頼夫 指導(ひかりのくに 800円)単に情報を「知る」ことと、自ら「発見」して「わかる」ことには大きな違いがあります。自然の中での観察と実際の飼育を通して「わかる」生き物の暮らし。写真家・編集者・監修者が共に「昆虫少年」だった頃「こういう本がほしかった」を実現させました。自然をしっかり見つめたからこその「発見」や「感動」を今の子どもたちに伝える図鑑です。(4~6歳) |
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モリー・バング 作/さくまゆみこ 訳(評論社 1400円)きらきらひかる町のあかりも、もともとはわたしのひかりなのですよ……と、太陽が語りかけます。わたしたちは、太陽のひかりを、どのようにして電気として使っているのか、美しいイラストで説明します。電気を生み出すことも、電気をかしこく使うことも、とても大切なことです。電気のことを考えるきっかけになる科学絵本。(小学中学年から) |
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ジョイス・シドマン 文/ベス・クロムス 絵/百々佑利子・他訳(冨山房 2000円)夜明けに草はらにひそむ、生き物たちを探しに出かけましょう。ウサギの巣や泡のおうちにいるアワフキムシ、とびはねるバッタ、色あざやかなトウワタ、すばしこいキツネ、大空を舞うタカ。スクラッチボードによって描かれた草はらの見事なタペストリー。リズミカルな詩の《なぞかけ》。そして科学的な解説が三者一体となったユニークな絵本。(小学中学年から) |
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いわさゆうこ 作(童心社 1100円)葉っぱが何枚も重なっているキャベツ。キャベツ畑に行ってみると、ちびっこ芽キャベツ、ムラサキキャベツ、はぼたん……いろいろなキャベツがあります。スーパーに並んでいる野菜は、畑でどんなふうに実っているのかな? 身近な野菜が、リズミカルな言葉といっしょに元気に動きだします。図鑑とはひと味ちがう、キャベツの魅力たっぷりの1冊。(4、5歳から) |
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里中遊歩 文/田代哲也 絵(星の環会 1300円)夏休みにお父さんの育った田舎に行くことになった風太とつぐみ。里山の自然を期待していましたが、都市化が進みすっかり変わってしまった田舎にがっかりします。そこで、昆虫を探しに「昆虫たんけん隊」を結成! 田んぼにすむ昆虫をたくさん見つけ、自然と生きものを大切にしようと心に決めます。巻頭巻末にはクイズ形式の田んぼの昆虫図鑑付き。(小学低~中学年) |
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リン・ハギンズ=クーパー著/宮田攝子 訳/海野和男・他日本語版監修(文溪堂 2800円)思わずぎょっとしてしまう色や、ぬめぬめしたからだ、ユニークな形など、へんてこな生きものがこれでもかと登場します。でも、その本来の姿は、自分の身を守ったり、環境にあわせて進化した姿なのです。 哺乳類、両生類、爬虫類、魚類、鳥類等の驚きの生態について、迫力ある写真と詳しい解説付きで紹介しています。(小学中学年から) |
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前田まゆみ 作(あすなろ書房 1700円)大人気の『野の花えほん』の姉妹編! 生き物の生態を、イラストでわかりやすく紹介します。どのように生まれて、おとなになるのか? 体の特徴、好きな食べ物ほか、知りたかった生き物のヒミツがわかります。日本に暮らす身近な生き物全152種が登場。イヌ派もネコ派も、イラストのかわいらしさに大満足まちがいナシ!(小学中学年から) |
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関口シュン 作・絵(佼成出版社 1400円)愛知県額田郡の鳥川は、初夏に舞うゲンジボタルで有名です。ホタルを守っているのは、全校児童11人の鳥川小学校。給食の残りでホタルのえさとなる巻貝を育てたり、川を掃除したり……。子どもたちの一年を追う、ノンフィクションコマ割り絵本です。飛ぶ姿以外はあまり知られていない、ホタルの生態もわかります。(小学中学年から) |
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有川美紀子・他文と写真(小峰書店 1400円)昨年、世界自然遺産に登録された小笠原諸島。火山の隆起で生まれ、海から漂着したものと空を飛ぶものだけが根づいたこの島々で唯一のほ乳類だったオガサワラオオコウモリは、独自の自然を創りあげた立役者です。彼ら小笠原の固有の生き物のいのちのつながりを守り、人間も共に生きていく方法とは? 小笠原に魅せられた大人たちからのメッセージ。(小学中学年から) |
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ジェニー・マイゼルズ・他作/池内 恵 訳(主婦の友社 2800円)自分の体って、知っているようで知らないもの。ページをめくると大人も楽しめる、何層にもなったポップアップのしかけで、人体の構造を確認することができます。腸のぜん動運動を絵の具のチューブをしぼり出すことに例えるなど、工夫が盛りだくさん。子どもはしかけで遊びながら体の動きを学ぶことができます。体ってすごい!と実感します。(3歳から) |
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石田秀輝 監修/松田素子・他文/西澤真樹子 絵(アリス館 1300円)カワセミのくちばしが新幹線の、ハコフグの体が車の形になった!? 自然から学んだ技術が、じっさいの生活に活かされている16例を、研究者の話やイラストをまじえながら楽しく紹介。動物や植物たちのすごさが実感でき、未来の科学に夢が広がる本です。(小学中学年から) |
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ポール・メイソン文/ボブ・ニコルス絵/おぎわらのりこ訳(大日本絵画 1900円)先史時代の世界を行きぬくための、ガイドブックです。恐竜の時代は、生肉を引きちぎり血をすするゾッとする世界でした。そんな世界に戻りたいのなら、生き抜くために役立つ最高のサバイバル・ガイドブックが必要です。今すぐバッグにこの本を入れて、恐ろしいモンスターに挑む準備をしよう。(4歳から) |
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瀬山四郎 文/田島董美 絵(さ・え・ら書房 1300円)数学の大切な要素のひとつに計算がありますが、そのほかにも、形の性質や数そのものを調べたり、論理や集合を考えたりと、数学の範囲はとても広いものがあります。本書は、1対1対応の基本を、たのしい絵本で紹介しています。数えるということ、どちらが多いかということをきちんと考えると、無限のふしぎが見えてきます。(小学中学年から) |
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須田孫七 監修/榎本功 写真(ひさかたチャイルド 1200円)アゲハが卵から成虫になるまでを、日を追いながら美しい写真でみていく科学絵本。産まれたばかりの毛虫が自分の卵の殻を食べたり、緑色の芋虫になった幼虫が角を出したり、アゲハの行動には驚きがいっぱい。成長・脱皮を繰り返し、やがて蝶へとダイナミックに変身する過程は、子どもたちに自然の不思議を感じさせてくれるでしょう。(3、4歳から) |
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水口博也文・写真(偕成社 1800円)クジラの写真家・研究家として長いキャリアをもつ著者が、みずから撮影した迫力ある写真とともに、クジラやイルカについての99個の質問に答えます。海の哺乳類である、クジラやイルカの暮らしとは? 進化の過程や環境問題など、さまざまな視点から知られざるその魅力に迫ります。(小学中学年から) |
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萩谷 宏・他指導・監修・執筆/伊地知国夫・他写真(小学館 2000円)身近な石からダイヤまで、見ているだけで楽しい、石の図鑑の決定版ができました! 岩石の写真には、鉱物の見える拡大写真を掲載、ほとんどの石が、わずか6、7種類の鉱物の組み合わせでできていることが、見ているうちに学べます。鉱物は、ため息が出るほど美しい標本ばかりを掲載。化石の標本は全国の博物館から集めた、よりすぐりです!(小学生) |
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横塚眞己人 写真・文(フレーベル館 1600円)赤道付近に存在する、熱帯雨林。その森の様子を、長年、写真におさめてきた写真家の横塚眞己人さん。この本は横塚さんが実際に感じ、触れた森の様子を伝える本です。色鮮やかな昆虫や動物、不思議な植物など、日本では見られない生きものたち。そして、生命の連鎖を、ぜひこの本で感じてみてください。ページをめくるとそこは生命の森です。(小学中学年から) |
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大木淳一 しゃしんとぶん(そうえん社 1300円)日本各地のたんぼで見られるピンク色の卵。これは、おばけみたいに大きい外来種のタニシの卵です。おばけタニシは田植えしたばかりのやわらかなイネの苗が大好物。天敵もいないため、たんぼでは何匹ものおばけタニシが見つかります。農家のおじいちゃんのやわらかな語り口で、たんぼの環境・外来種問題を考える写真絵本。(小学中学年から) |
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伊藤勝敏 写真・文(保育社 1800円)海の中では、魚は生きるために様々な工夫をしています。砂の中にもぐったり、ほかの生きものに隠れたり、〝目〟の場所をごまかして身を守ったり…。本書は海中の写真をふんだんに盛り込み、そこから魚の姿を探す(=探魚〈たんぎょ〉)ことで、「本来の魚の姿」が学習できます。魚の見つけにくさをレベルで表し、クイズ形式で紹介しています。(小学中学年から) |
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藤井 旭 著(平凡社 1600円)四季の星座を誘いに、太陽、月、惑星などのなじみの天体、銀河系や銀河系外の宇宙などを迫力の写真で紹介。 宇宙の誕生やその未来についてなど、いま最もホットな話題にも迫る。(小学中学年から) |
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今関信子 作(文研出版 1300円)日本最大の湖、琵琶湖。この湖は、日本でいちばん古い湖でもある。誕生以来、琵琶湖はさまざまな固有種をはぐくみ、人間たちに大きな恵みをあたえてきた。その琵琶湖が、人間の活動による環境の変化で、いま調子をくずしつつある。「琵琶湖の医者」として、湖をずっと見守ってきた科学者たちの研究や市民の活動を通して、現在の琵琶湖のすがたにせまる! 琵琶湖から見えてくる問題とは?(小学高学年から) |
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新開孝 写真・文(岩崎書店 1400円)「トリックアート」な昆虫たち大集合! 色とりどりの卵からはじまって、青いパンダのような顔をもつカミキリムシ、ダンゴムシそっくりのゴキブリ、カマキリそっくりのウスバカゲロウの仲間、人面模様が変わるカメムシなどを紹介。きっと昆虫の見方がかわるでしょう。掲載されている昆虫はすべて日本産。みんなの近くにもいるかもしれません!?(小学低学年から) |
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桃井和馬 ぶん/長野ヒデ子 え(大日本図書 1333円)私たちの生活から消えてしまった暗闇。夜でも明るくて便利だけれど、星が見えなくなってしまったり、人間のもつ五感が失われてしまったりしているのかもしれません。家の中を真っ暗にすると、どんな音がきこえてくるかな? 暗闇の中で飲む水は、どんな味がするかな? 暗闇を体験する方法を楽しく描いた科学絵本。(小学低学年から) |
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小泉光久 文/高山ケンタ 絵/河野 博 監修(くもん出版 1300円)大衆魚と呼ばれ日本の食卓でおなじみの魚たち。その生態や一生には、実は驚くような知識や謎が多く隠されています。魚によって異なる漁法や食べ方、日本人の暮らしとの関わりについても解説。巻頭には、東日本大震災で被災した漁業関係者のことばも収録しました。魚について楽しく学びながら、海の恵みを生かす人の暮らしについても考える本です。(小学中学年から) |
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草野慎二 著/武田正倫 監修(あかね書房 2500円)巻貝を背負って暮らしているヤドカリ。いったいどうやって貝を手に入れているのでしょう? 貝を背負ったら動きにくくなるのでは? 危険な目にあったらどんなふうに逃げるのか……? 不思議でユニークなヤドカリの暮らしに迫った一冊です。さらに、ヤドカリが暮らす潮だまりの環境やそこに暮らす他の生き物もたっぷり掲載しています。(小学低学年から) |
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中村征夫、さかなクン著(新日本出版社 2500円)さかなクンと水中写真家の中村さんが海の魚たちのドラマチックな生態を案内するシリーズの第4巻。日本の近海には藻場、岩場、砂地などの変化に富んだ環境が広がります。海藻に巻きつくタツノオトシゴ、岩場の穴にひそむウツボ、砂地で擬態するアンコウなど、色も形もくらし方もバラエティー豊かな魚たちを環境ごとに紹介!(小学低学年から) |
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髙井宗宏 監修(農文協 2200円)管理機での農作業に熱中したりトラクタに乗りたがったり、子どもたちは農業機械に興味津々。そんな子どもの関心を広げ、農機の魅力を伝える絵本が国内初登場。驚きのしくみや働きなどに豊富な写真で迫ります。夏の田畑でよく見かける管理機、防除機をはじめ、トラクタ、田植機、コンバインなど、カッコいい農機が満載のシリーズ。(小学中学年から) |
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新開 孝 写真・文(ポプラ社 1200円)木からしみだす「じゅえき」に、カブトムシやクワガタ、チョウやカナブンが集まってきます。まるでここは、じゅえきレストラン! 迫力満点の写真で、虫たちがじゅえきを飲む様子や、レストランで起きるケンカ、捕食、交尾などを見ることができます。解説のページではじゅえきがどのように作られ、しみだしてくるか詳しく解説しています。(小学低学年から) |
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ソ・ボヒョン文/田島征三 絵/おおたけきよみ訳(光村教育図書 1500円)「人は、死に至ることのない程度のけがをくり返すことにより成長し、学ぶのだ」と言う田島征三。韓国の人気若手作家とのコラボで生まれた、異色の翻訳絵本です。パワフルなイラストと、ユーモアたっぷりのわかりやすいことばで、体じゅうをめぐりめぐる血の働きを解明します。読むと元気がわいてくる絵本!(幼児から) |
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高橋うらら 文・写真/永吉カヨ絵(学研マーケティング 1200円)小笠原にやってくる貴重な野鳥がおそわれている。犯人は野生化したネコ。「野鳥を守るために、凶暴なノラネコは処分するしかない」という意見に、「鳥の命も、ノラネコの命も大事です。両方を救いましょう」という獣医師のことばで、小笠原のノラネコを東京本土へ引っこしさせる捕獲作戦が始まった! 「特異な」小笠原の自然についても解説多々。(小学中~高学年) |