「くまちゃんせんせい」はだあれ?
夫婦で絵を描く仕事をしているので、家で仕事しているし、どうにかなるだろうと思い、保育園に子どもを預けずに時間を作っては仕事をしていました。
ところが、子どもが成長とともに昼寝をしなくなり、夜中や朝方に仕事をする事が増えて、打ち合わせに連れていけば「おなかすいた。かえる」と言い出す始末……。
これはもう保育園だ!とあわてて申し込みました。でも、待機児童で騒がれていた頃で区立の園には入れなかったんですが、どうにか保育室に入れる事になりました。
入れはしたものの、子どもはいきなり知らない所へ預けられるわけですから、朝からそれはそれは大泣きで、親子で心が折れる日々でした。
まる一ヵ月を過ぎた頃、泣かずに行くようになり、気がつけば大好きな先生がいて、一緒におもいきり遊べるお友達がいて、だんだんと保育園が生活の一部になっていきました。
そんな頃に頭に浮かんだお話が、『くまちゃんせんせい』です。
朝の送りや帰りのお迎え、おはなしするのはきまって先生のこと。「◯◯せんせいと〜してあそんだよ!」「あしたは、◯◯せんせいくるかな〜?」「きょうは、おそばんだから、あさいないって」などなど。
子どものいろんな気持ちを丸ごと受け止めてくれる先生たち。抱擁力たっぷりの先生がいると、子どもたちも安心して保育園生活を楽しみ、親も安心して仕事ができますよね。
いっぱい遊んで、もりもり食べて、お昼寝して、おねしょだってケンカだってするけれど、全力で成長している子どもたちを、保育園に限らず、まわりのおとなたちみんなが、くまちゃんせんせいのようになって、でっかく、あったかーく、ふっかふかで見守っていけたらいいなと、そんな気持ちで描きました。
くまちゃんせんせいは、子どものそばにいるみなさんなのです。
(マリーニ・モンティーニ)●既刊に『ふうチャンのニッポン12かげつめぐり』『僕のツール・ド・フランス』(共にフランスにて出版)。
小峰書店
『くまちゃんせんせい』
マリーニ・モンティーニ・さく・え
本体1、000円