日本児童図書出版協会

児童書出版文化の向上と児童書の普及を目指して活動している団体です

こどもの本

私の新刊
『くまちゃんせんせい』 マリーニ・モンティーニ

(月刊「こどもの本」2015年11月号より)
芝田勝茂さん

「くまちゃんせんせい」はだあれ?

 夫婦で絵を描く仕事をしているので、家で仕事しているし、どうにかなるだろうと思い、保育園に子どもを預けずに時間を作っては仕事をしていました。
 ところが、子どもが成長とともに昼寝をしなくなり、夜中や朝方に仕事をする事が増えて、打ち合わせに連れていけば「おなかすいた。かえる」と言い出す始末……。
 これはもう保育園だ!とあわてて申し込みました。でも、待機児童で騒がれていた頃で区立の園には入れなかったんですが、どうにか保育室に入れる事になりました。
 入れはしたものの、子どもはいきなり知らない所へ預けられるわけですから、朝からそれはそれは大泣きで、親子で心が折れる日々でした。
 まる一ヵ月を過ぎた頃、泣かずに行くようになり、気がつけば大好きな先生がいて、一緒におもいきり遊べるお友達がいて、だんだんと保育園が生活の一部になっていきました。
 そんな頃に頭に浮かんだお話が、『くまちゃんせんせい』です。
 朝の送りや帰りのお迎え、おはなしするのはきまって先生のこと。「◯◯せんせいと〜してあそんだよ!」「あしたは、◯◯せんせいくるかな〜?」「きょうは、おそばんだから、あさいないって」などなど。
 子どものいろんな気持ちを丸ごと受け止めてくれる先生たち。抱擁力たっぷりの先生がいると、子どもたちも安心して保育園生活を楽しみ、親も安心して仕事ができますよね。
 いっぱい遊んで、もりもり食べて、お昼寝して、おねしょだってケンカだってするけれど、全力で成長している子どもたちを、保育園に限らず、まわりのおとなたちみんなが、くまちゃんせんせいのようになって、でっかく、あったかーく、ふっかふかで見守っていけたらいいなと、そんな気持ちで描きました。
 くまちゃんせんせいは、子どものそばにいるみなさんなのです。

(マリーニ・モンティーニ)●既刊に『ふうチャンのニッポン12かげつめぐり』『僕のツール・ド・フランス』(共にフランスにて出版)。

『くまちゃんせんせい』
小峰書店
『くまちゃんせんせい』
マリーニ・モンティーニ・さく・え
本体1、000円