星を見つけよう
『星と星座をみつけよう』は、「星のことも星座のこともぜんぜん知らないよ、という若い人のためにつくられた本」です。
中学生くらいの人に向けて、という企画でしたができてみれば、小学生が読んでも、もちろん大人が読んでも、「なるほど! そうなっているのか!」と、星座の見つけ方がわかる本になっているはずです。
「星座を見つけるのが趣味です」という人には、なかなかお目にかかりません。なるほど、街の明るい夜空に、小さな星を見つけるのは至難のワザ。といって、暗い夜空を求めて郊外へ出かけても、夏は虫、冬は寒さとの闘いで、そうしていくつかの星座を見つけたからといって、星のひとつも持って帰れるわけでもなし…。となれば、広く世間で流行らないのも、無理からぬ話かもしれません。
でも、たとえば、「あ、もうクロッカスが咲いているぞ」とか、「キンモクセイの香りがするなあ」というように、春に「しし座がのぼってきたぞ」とか、秋に「カシオペヤ座がMの形になっているなあ」とか、星を見てそれとなく季節のことを思うのは、なんだかわるくないことだなあ、と思うのです。
あるいは、部活か塾から家までの帰り、たまたま一緒になった、ちょっと好きな子。そのたそがれの道で、少しドキドキしながら、空を指差して、星の名前を教えてあげる、なんていう景色も、なんだか、とてもわるくないことだなあと思うのです。
さて、この本のキーワードは四つ。
1.まずは北斗七星から
2.夏は夏の大三角から
3.秋は秋の四辺形から
4.冬は冬の大三角から
どうぞこの本で充分に予習をして、そしていつか、その予習が役に立たぬほど、星座がわからぬほど、星でいっぱいの夜空の下に立ってみてください。実はそれが、私が読者の皆さんに、いちばんに見てもらいたいものかもしれません。
(もり・まさゆき)●既刊に『夜と薔薇』『散歩手帖』『すみれちゃん』など。
誠文堂新光社
『星と星座をみつけよう』
森 雅之・著
本体1,300円