作って、描いて、食べて…サンドイッチ絵本
画学生のころ、毎朝好きなサンドイッチを作って、お昼に学校の屋上で食べるのが好きでした。アルバイトをしながら、パン屋さんでパンの耳を一袋10円(今では考えられない値段!)で買って、いろいろはさんで食べて、絵を描いて生きてきました。パンが食べられて好きな絵が描けるだけで幸せでした。今もそれは全然変わりません(アルコールが加わったけど…)。
そんなわけで、好きなサンドイッチの絵本を作ろうと思ったのです。
以前に、子供たちがお料理する絵本を作ることになり、ページをめくるというのと、パンをはさむ行為を組み合わせてサンドイッチを作るという絵本を考えました。でも、その時は大きなフランスパンに具をはさむサンドイッチになり、今回再チャレンジなのです。
両側のページにパンを描き、具をふわふわと飛ばして、それをページをめくって「ぺったん!」するとサンドイッチが出来上がって、いろいろなサンドイッチを作り、最後に一番好きなサンドイッチ、という構成はすぐできました。なにをはさむかとか、最後のサンドイッチをどうするかで紆余曲折したり、文章表現のところで、竹下文子さんに協力いただいたりして、無事ダミーが完成。毎朝、パンと具を持って仕事場に行き、パンと具を描いたら、次に、はさんだところを描いて、次に、切ったところを描いて、(ぐらいで一日が終わり)、翌朝、朝食に昨日描いたのを食べて、また新たなサンドイッチを描く…といった感じで、絵が出来上がりました。ところが「トマトは横向きに切るのが普通だ」という編集のM嬢と「食べれば同じじゃん」と対立があり、正統派のサンドイッチの絵本を作りたいというM嬢の執念に押し切られ横向きトマトに絵を修正。微妙な色の違いで、「新鮮さ」や「おいしそう感」が違うので、印刷屋さんにも頑張っていただきました。
この絵本を見て、サンドイッチを作りたくなって、おいしく食べてもらえれば嬉しいです。もちろん一番最後のサンドイッチを忘れないでくださいね。
(すずき・まもる)●既刊に『みんな あかちゃんだった』『あかちゃんたいそう』『世界の鳥の巣の本』など。
小峰書店
『ぺったん!サンドイッチ』
鈴木まもる・作
本体1,000円