『新訳 赤毛のアン』
モンゴメリ/著、木村由利子/訳
羽海野チカ/カバーイラスト
おのともえ/本文イラスト
2011年3月
二〇一一年三月に創刊された、弊社にとってはじめての児童文庫シリーズである「集英社みらい文庫」。レーベルの立ち上げにあたり、「集英社文庫」のハチくんのような、親しみやすいイメージキャラクターを作ろう!ということになりました。
子どもたちだけでなく、お母さんたちにも愛されるキャラクターにしたいな……と考えて、最初に候補に上がったのが、『ハチミツとクローバー』の羽海野チカ先生でした。大変幸運なことにオファーを受けていただけて、先生から「毎月、流れ星になったみらい文庫の新刊が届く、不思議な〝みらいの木〟がある〝みらいの森〟。その森で、みらいちゃんと未来君が、動物たちと一緒にくらしている」というコンセプトのラフが届いた時、「みらい文庫の明るい未来も見えてきたね!」と編集部一同大喜びしたことを覚えています。
また、文庫のイメージキャラクターのデザインだけではなく、羽海野先生に、永遠の名作「赤毛のアン」の挿絵も担当していただけたことも、この上なく素敵な巡り合わせだったなあと感じています。あとがきにも寄せてくださったのですが、羽海野先生は「赤毛のアン」シリーズの大ファンでいらっしゃいます。創刊前に書店さんたちからも「人気漫画家さんの描き下ろしカバーで、名作シリーズをぜひ!」というご意見をいただいていたので、羽海野先生とアンという、夢のコラボが実現できて、本当に嬉しく思っています!
カバーは、孤児院からやってきたアンがマシューと駅で出会い、馬車でグリーンゲイブルスに向かうシーンです。馬車からの美しい景色を見て、感動に打ち震える幸せにあふれた表情が、胸に迫ります。
また、モノクロイラスト担当の、羽海野先生のアシスタントも務めるおのともえさんが、何冊もの資料を読み込んで仕上げた挿絵の完成度と精密さには、羽海野先生も大変喜んでくださいました。
本文も、木村由利子先生による新訳で、より現代的でいきいきとしたアンが誕生しました。
私も「赤毛のアン」を小さい頃に読んでいましたし、アニメシリーズも観ていたはずなのですが、今回担当してみておもしろさを再確認し、新潮文庫のアンシリーズを一気に読破してしまいました!
アンは、やっぱり史上最強の乙女キャラです。現代でもまったく色あせない、女の子の好きなもの、そしてキライなもの。自分の容姿に対して、驚異的なほど敏感で傷つきやすいところ……ガーリーの頂点というべき描写が、キラキラ輝いています。
みらい文庫版の「赤毛のアン」シリーズは、今後毎年一冊ずつ刊行していく予定です。母娘で読み継がれるような定番作品になるように、一作一作丁寧に作っていきたいと思っています。