日本児童図書出版協会

児童書出版文化の向上と児童書の普及を目指して活動している団体です

こどもの本

私がつくった本30
集英社 千葉佳余

(月刊「こどもの本」2011年11月号より)
新訳 赤毛のアン

『新訳 赤毛のアン』
モンゴメリ/著、木村由利子/訳
羽海野チカ/カバーイラスト
おのともえ/本文イラスト
2011年3月

二〇一一年三月に創刊された、弊社にとってはじめての児童文庫シリーズである「集英社みらい文庫」。レーベルの立ち上げにあたり、「集英社文庫」のハチくんのような、親しみやすいイメージキャラクターを作ろう!ということになりました。

子どもたちだけでなく、お母さんたちにも愛されるキャラクターにしたいな……と考えて、最初に候補に上がったのが、『ハチミツとクローバー』の羽海野チカ先生でした。大変幸運なことにオファーを受けていただけて、先生から「毎月、流れ星になったみらい文庫の新刊が届く、不思議な〝みらいの木〟がある〝みらいの森〟。その森で、みらいちゃんと未来君が、動物たちと一緒にくらしている」というコンセプトのラフが届いた時、「みらい文庫の明るい未来も見えてきたね!」と編集部一同大喜びしたことを覚えています。

また、文庫のイメージキャラクターのデザインだけではなく、羽海野先生に、永遠の名作「赤毛のアン」の挿絵も担当していただけたことも、この上なく素敵な巡り合わせだったなあと感じています。あとがきにも寄せてくださったのですが、羽海野先生は「赤毛のアン」シリーズの大ファンでいらっしゃいます。創刊前に書店さんたちからも「人気漫画家さんの描き下ろしカバーで、名作シリーズをぜひ!」というご意見をいただいていたので、羽海野先生とアンという、夢のコラボが実現できて、本当に嬉しく思っています!

カバーは、孤児院からやってきたアンがマシューと駅で出会い、馬車でグリーンゲイブルスに向かうシーンです。馬車からの美しい景色を見て、感動に打ち震える幸せにあふれた表情が、胸に迫ります。

また、モノクロイラスト担当の、羽海野先生のアシスタントも務めるおのともえさんが、何冊もの資料を読み込んで仕上げた挿絵の完成度と精密さには、羽海野先生も大変喜んでくださいました。

本文も、木村由利子先生による新訳で、より現代的でいきいきとしたアンが誕生しました。

私も「赤毛のアン」を小さい頃に読んでいましたし、アニメシリーズも観ていたはずなのですが、今回担当してみておもしろさを再確認し、新潮文庫のアンシリーズを一気に読破してしまいました!

アンは、やっぱり史上最強の乙女キャラです。現代でもまったく色あせない、女の子の好きなもの、そしてキライなもの。自分の容姿に対して、驚異的なほど敏感で傷つきやすいところ……ガーリーの頂点というべき描写が、キラキラ輝いています。

みらい文庫版の「赤毛のアン」シリーズは、今後毎年一冊ずつ刊行していく予定です。母娘で読み継がれるような定番作品になるように、一作一作丁寧に作っていきたいと思っています。

みらい文庫