「大きくなっていく」?
『ぱんだぱんだ』の絵本は私のオリジナルの豆本「ぱんだなんだ」を幼年絵本に仕立て直したものです。「ぱんだ」「うんだ」、「ぱんだ」「のんだ」というように「ぱんだつながり」の動詞が繰り返して出てくる言葉遊びになっています。
ぱんだの文字の画面では「どうしたのかしら」と、親ぱんだの表情から思いを膨らませて、ページをめくっていけるようになっています。
ここまでは作者が「あーでもない、こーでもない」と考えた部分です。
さて、この絵本ができあがって間もなく、三歳の妹がいる小学生くんがこんなことをいいました。「このぱんだちゃん、だんだん大きくなっていくんだね」「大きくといっても体はめちゃくちゃに大きくはならないよ」「そうじゃなくてだんだん成長していってるね」どういうことかというと、この絵本では、まず子ぱんだが生まれて、おっぱいを飲んで、動き回って、積み木遊びをはじめて、そして絵本を親ぱんだといっしょにみるようになります。
絵本のはじめに生まれた子ぱんだちゃんは、おしまいにはお母さんといっしょに絵本をみるほどに育った、といいたかったのです。まるで、小学生くんの妹が育ってきたのに、重ね合わせるように……。
「いいことに気づいたね」と小学生くんを褒めておきました。
「はえば立て、立てば歩め……」と言いますが、次に出来そうなことはなんだろうとつないでいったことが、結果的には成長になったのですが、こんな気づきを話してもらえることも、作者にはとてもうれしいことです。
一応、作者も子ぱんだちゃんの成長を縦軸にして考えた、としておきましょう。
それから、見返しには、ぱんだの親子の顔がいっぱいかいてあるのですが、はじめの見返しと後ろの見返しを見比べると……ちょっと違うんですよ。
こういうことができるのも、絵本の楽しいところです……いや、私がいたずら好きなのでしょうか。
●既刊に『あみものおつきさま』『やまのすもうだはっけよい!』『ことば遊び ネタのタネ』など。
新日本出版社
『ぱんだぱんだ』
しばはら・ち・さく・え
本体800円