日本児童図書出版協会

児童書出版文化の向上と児童書の普及を目指して活動している団体です

こどもの本

私の新刊
『3びきこりすのおたんじょうびケーキ』 権田章江

(月刊「こどもの本」2013年10月号より)
権田章江さん

とびきり素敵なお誕生日ケーキ

 若い頃、色々な職業を転々として、その話をすると大抵「何でもやってるね~」と驚かれます。レストラン、ケーキ屋、百貨店、デザイン事務所、アパレルショップ、インテリアショップ、カーテンメーカーで営業、紅茶専門店、塗装工場、公園でカウンターを手にカチカチというのも…まだまだ書ききれませんが、この中でケーキ屋さんや紅茶専門店などは、私の絵本「3びきこりす」に役立ったのかな、などと思います。

 クレープ屋さんで働いていたこともあって……ある夏の日、小学生の男の子がお小遣いを握りしめてクレープを買いに来ました。クレープって、メニューもあるけど中身を好きにトッピングもできるんです。その日はとても暑くって「アイスをダブルにしたい」とのこと。「じゃあ好きなのを選んで」と、その子の好きに選ばせると……「オレンジシャーベットとブルーソーダシャーベット、そこにチョコレートソースをかけて!」はいはい、まかせて! ジャーン! できあがりは……「うわ~……まずそう!」た、たしかに……オレンジと青が混じり合ってそこにドロッとしたチョコレートがさらに重なり合い……「失敗したな、おいしそうな組合せで勧めてあげれば良かったな」と思った経験でした。

 さて、私の1作目の絵本『3びきこりすのケーキやさん』のこりすたち、チョコ、マカ、ロンはそんな失敗はいたしません。メニューの無いケーキ屋さんで、その人に合ったケーキで困りごとを解決してくれます。しかもとってもおいしい!         

 今回2作目となる『3びきこりすのおたんじょうびケーキ』ではとびきり素敵なお誕生日ケーキをつくります。

 だれにとっても特別なお誕生日。この本を読んだ子が大きくなって、「なんだかとても美味しそうなお誕生日ケーキの絵本があったな」と心のどこかにこっそり残るような、そして「その本はなんだかとても温かい気持ちになる本だったな」と思い出してもらえたら……そんな思いを込めて作らせていただきました。

(ごんだ・あきえ)●当シリーズがはじめての絵本。

「3びきこりすのおたんじょうびケーキ」
教育画劇
『3びきこりすのおたんじょうびケーキ』
権田章江・作・絵
本体1,100円