わくわくドキドキの絵本づくり
夏の暑い頃、僕は、クーラーは若干効いているものの、節電のおり、少し蒸し暑い部屋で、一生懸命、クリスマスのくろくまくんの絵を描いていました。「うーん、もう一つ臨場感が足りないなー」ということで、ジングルベルの音楽をかけながら…と、そこまではしませんでしたが(笑)、とにかく暑いさなか描いたクリスマスの絵本です。
もともと、「くろくまくん」シリーズは、くろくまくんのキャラクターのかわいらしさを描くことと、黒と色を効果的に使って、子どもたちに四季の楽しさを伝えたいな、というところからスタートしました。ですから、4冊でいったん完結の予定だったのですが、そこそこ人気があるぞ! ということで、気をよくした僕は、「ではでは1年間12冊のくろくまくんのお話を作りたいです!」と、お話ししました。
はたして出版社さんは、というと…「それでは、おもしろいお話ができたら続けましょうか~」というものでした。それはそうですね、5冊目以降もおもしろいお話が作れるか? というと、それはわかりませんものね! うーん、これはガンバらなければと、思いました。
その後、順調に5、6冊目を出すことができました。しかも5冊目の『ごちそう くろくま』は、毎年イタリアで開かれるボローニャ国際絵本原画展に入選することができました。
今回は、シリーズの7冊目になります。新しい本を描くときは、必ず、前のものよりおもしろくなっているかということを自分に問います。今回も、3つほどのストーリーを考えたなかで、これぞというおもしろいお話が、絵本になりました。
この絵本では、プレゼントがキーワードになっています。プレゼントは、もらうときはもちろん、贈る相手の顔を思いうかべながら選ぶときも、わくわくドキドキします。僕はその気持ちが大好きです。この絵本が、子どもたちへのわくわくドキドキのプレゼントになれば嬉しいです。
たかいよしかず●既刊に『キャラクターデザインの仕事』「くろくまくん」シリーズなど、装丁・挿し絵に「怪談レストラン」シリーズなど。
くもん出版
『クリスマス くろくま』
たかいよしかず・さく/え
本体800円