日本児童図書出版協会

児童書出版文化の向上と児童書の普及を目指して活動している団体です

こどもの本

私の新刊
『ねずくんとパパのおるすばん』 とね さとえ

(月刊「こどもの本」2024年4月号より)
とね さとえさん

パパと初めてのおるすばん

 ママが大好きなネズミのねずくん。今日はママがお出かけ、初めてパパと二人だけでのお留守番です。ねずくんのパパは最初、ママみたいになろうと奮闘しますが、うまくいきません。でも次第にパパらしい接し方を発見してさらに仲良しに…そんなお話です。

 さて、このお話の作画中に、まさに私にも似た事件がありました。

 我が家は四人家族。イタリア人の夫、五歳の息子と現在九か月の娘がいます。実は、昨年日本で娘を出産した時、コロナの影響で、子どもは面会不可という産院のルールがありました。息子は生まれてこの方、保育園にいる時以外はほぼ私と離れたことがありません。出産直前まではイタリアから里帰りした私と一緒に過ごしていたので、私の入院中の五日間が非常に心配でした。息子も「ママがいないのイヤ!」という返事。何かいい案はと考えた末、出産に合わせてイタリアから日本に来る予定だった夫に「男同士で旅行に行ってきたら?」と提案しました。夫も最初は乗り気ではありませんでしたが、いざ出発してみると、電車博物館に水族館、夜の街のお散歩など、相当楽しかったようです。絶対に泣くと思っていた息子も、テレビ電話では笑顔いっぱい。私に隠れて二人だけの秘密ごとまであったみたいで、電話越しの二人は一致団結。結局私の心配は杞憂に終わりました。夫からも「自分の人生の中で一番すてきな思い出の一つになった」と感謝されました。息子も「またパパと旅行行きたい!」と言っており、なんだ、寂しくなかったのかと、逆に私が寂しくなりました。

 こんな風に絵本には、我が家の育児ネタもちょこちょこ入っております。

 ところで、最近のパパたち、本当に献身的に育児に参加していますね。子どもの保育園の参観日も、両親そろった参加組がたくさんいて、すごいと思います。お迎えに来るパパも多いし、公園のパパ出没率も高いです。

 そんな頑張っているパパママたちを応援したいとこのお話を描きました。子育て中の皆さまへエールを!

●既刊に『ぴっぽのたび』『モカと幸せのコーヒー』『おもいで星がかがやくとき』など。

『ねずくんとパパのおるすばん』"
Gakken
『ねずくんとパパのおるすばん』
とねさとえ・作・絵
定価1,760円(税込)