日本児童図書出版協会

児童書出版文化の向上と児童書の普及を目指して活動している団体です

こどもの本

私の新刊
『ぶたくんの とどかない とどかない』 ふくだじゅんこ

(月刊「こどもの本」2024年4月号より)
ふくだじゅんこさん

ようこそ、ぞうさん

「背中がかゆい……、うーん、とどかない! もう少し上、あとちょっと……」こんなことはよくあることです。「しかたない……」いつもそうするように、テーブルの角に背中を押し当てて、くいっ くいっ くいっ。これもいつものこと。いつもなら、そこで終わるところでした。けれど今回はふと、こんなことが頭に浮かんだのです。

「もし今、動物がやって来て、この背中をかいてくれるなら、誰がいいだろう?」しゃがみこんだまま、妄想が始まりました。

 まずは、ぞうさんがやって来ました。長い鼻でちょいちょいと背中をかいてくれます。「うひょひょ、これはくすぐったそう」 キリンさんがやって来ました。「えっ、どうやってかいてくれるの?」 すると、長〜い首をぐにゃりと曲げて、ツノでぽんぽんぽん。でも、うまくはいきません。あの子もダメ、この子もうまくいかないぞ。うーん、誰がいいだろう。「そうだ、あの子だ! あの子しかいない!」ーーと、ここまでの妄想、約5分。

 そうやって、この絵本は生まれました。背中がかゆいけど手がとどかないぶたくんと、手伝ってくれる動物たちのお話です。もちろん、そのまますんなりと一冊の絵本になるはずもなく、そこからは立ち止まっては、また進むの繰り返し。立ち止まる度に投げ出さなかったのは「せっかく私の所に来てくれたんだから」との思いがあったからでした。

 道に迷いそうになると、編集者さんが「こっちじゃないですか?」と先頭に立ってくれました。デザイナーさんは、「ここ、ここ、ここですよ」といった感じで、しっくりとくる居場所のようなデザインをしてくださいました。

 そうして出来上がった、シンプルで余白がたっぷりのこの絵本。どこかで出会ったら、ぶたくんたちと一緒にのんびりゆったり、ひと休みの時間を過ごしていただけたなら、幸せに思います。

●既刊に『とりかえっこ とりかえっこ』『おおきいの ちいさいの』『ちょきちょきブロッコリーさん』など。

『ぶたくんの
大日本図書
『ぶたくんの とどかない とどかない』
ふくだじゅんこ・作
定価1,540円(税込)