日本児童図書出版協会

児童書出版文化の向上と児童書の普及を目指して活動している団体です

こどもの本

私の新刊
『キラキラげんきなめのひみつ』 すみもとななみ

(月刊「こどもの本」2024年2月号より)
すみもとななみさん

つたわれ、つたわれ!

 私が作画をする上で、一番大切にしていること。それは「やさしく、やわらかく、つたわるように」です。

 よく作画のご依頼をうけるものとして、科学やHOW TOなど少し解説を必要とするものが多いです。難しいかもしれない内容も、なんとな〜く、それとな〜く、大事な事は押さえて描きあげます。それは人の第一印象に近いかもしれません。敬遠しないで、まずは手に取って読んでみて、と。

 少年写真新聞社さんでお世話になるのはこの『キラキラげんきなめのひみつ』で3作目。小学生の子ども達の心や身体の健康に寄り添ったシリーズで、とても大切な事を伝えています。特に今回の目の健康を伝える本。昨今の小学生の生活の中では、デジタル画面を必要とする場面が年々増え、それは、若年層の視力低下の原因として大きな問題となっています。その上、楽しいゲームとくれば、「もうちょっと!」と続けたくなる気持ちは大人の私でも理解できます。そんな時、この本を手に取ってくれた子が、10分でも多く外遊びに行ってくれたら、と願いつつ制作しました。ご存知でしたか? 外光は、身体の健康に大切な要素なのです。

「この本のナビゲーターは、黒猫です」最初の打ち合わせで、編集の但川さんにそう伝えられた時、正直「うっ!」と思いました。猫がメインで出てくる本を描いた事がなく、ましてや黒猫なんて! しかし、目の事を伝えるのに、黒い身体にキラキラと光る目を持つ黒猫は、うってつけのキャラクターです。それから必死で資料を集めたり、スケッチをしたりしてがんばって描きあげました。もちろんこれは、初めてここで白状します(笑)。いつも新しいお題が私を成長させてくれるのです。

 普段はイラストレーターとして仕事をしておりますが、近年、絵本の文章も勉強し、一昨年、昨年と新刊を出す事ができました。その時の姿勢も常に同じです。どうかこのメッセージが、たくさんの子ども達につたわれ〜、つたわれ〜と念じながら、そして楽しんで日々、制作を続けています。

●既刊に『クモのシルバーくん』『オーリンとバイオリン』『おもいやりの絵本』(WILLこども知育研究所/編・著)など。

『キラキラげんきなめのひみつ』"
少年写真新聞社
『キラキラげんきなめのひみつ』
すみもとななみ・え/いがらしたえ・かんしゅう
定価2,200円(税込)