日本児童図書出版協会

児童書出版文化の向上と児童書の普及を目指して活動している団体です

こどもの本

私がつくった本77
ひさかたチャイルド 林茉莉衣

(月刊「こどもの本」2017年6月号より)
おでかけ中に楽しめる100のあそび

おでかけ中に楽しめる100のあそび
ノン・フィグ/絵、いわじょうよしひと/訳
2016年5月刊行

『おでかけ中に楽しめる100のあそび』は、ハガキサイズのカード50枚とペンがセットになった、箱入りのカードゲームです。迷路やまちがいさがし、お絵描き遊びや言葉遊びなどのミニゲームが、全部で100個楽しめます。また、カードには特殊な加工がされており、描いたものはティッシュペーパーで消して繰り返し遊ぶことができます。 

 原書は2008年にイギリスのUsborne社より刊行されましたが、日本での版権は残ったままでした。日本の書店の児童書コーナーで「ペン付きカードゲーム」は広く展開されていない事実に、編集長と営業陣が着目したことが企画の始まりです。

 編集を任せてもらえることになり、改めてこの作品を手にしたとき、「バラエティの豊かさ」「持ち運びに便利なコンパクトさ」がとても魅力的だと感じました。私自身、1歳の息子との外出時の苦労から「コンパクトな玩具」を重宝していましたし、子持ちの友人たちからも「車での移動中や飲食店での待ち時間、ついスマホを子どもに与えてしまうのが後ろめたい」という悩みをよく耳にしていたからです。子どもとの外出時、パパやママの強い味方になりつつ、スマホ世代の子どもたちにはアナログ感が新鮮で、今の時代にぴたりとはまる気がしました。

 バラエティ豊かな「100個」の設問の編集作業は、直面する問題もバラエティに富んでいましたが、仮訳を付けたカードで実際に子どもに遊んでもらった際の解答がとても微笑ましかったり、逆に子どもから意見をもらったり、刺激的で楽しい編集作業となりました。工夫した点は、訳者と相談し日本語版には一部考えを促すヒントや具体例を入れたことです。原書は子どもたちの自由な発想を大切にする海外らしい作品でしたが、特に「お絵描き遊び」のカードは、その特徴が顕著でした。例えば、原書では人の顔の輪郭だけ描かれたカードに「顔をかこう」とだけリード文が書かれています。そこで、日本語版には「目は大きい? 鼻は高い?」と補足を入れるといった感じです。より、日本の子どもたちにマッチする日本語版になったと思います。

 発売後は営業陣が空港や大きな駅の近くの書店に積極的に営業をかけたことが結果につながり、ありがたいことに発売9ヶ月で3万部に到達しました。今年の6月には続編である『おでかけ中に楽しめる100のあそびでんしゃいっぱい!』も発売されます。この『おでかけ中に楽しめる100のあそび』があれば、子ども一人でも家族みんなとでも「暇つぶし」をしながら、渋滞中や待ち時間も楽しく過ごすことができますよ。旅行の際はもちろん、ちょっとしたおでかけの際にも、鞄にそっとしのばせておくことをオススメします♪