楽しく知って 野菜のこと、畑のこと
食いしんぼうが高じて、野菜を育てたり、生産者の畑を訪ねたり、いろんな活動をしています。最初は、おいしいものを食べることに喜びを感じていましたが、その土地ならではの野菜や食べ物に出会い、生産者の思いにふれると、おいしさの秘密を発見したような気持ちになりました。
数年前に訪ねた農家のおじいさんの厚みのある大きな手。握手をすると、何十年も慈しんで農作物を作り続けているぬくもりを感じました。また、ほこほこの土に植えられている、にんじんを抜き、土をはらってがぶりとかじったときの、宝物をいただいたようなおいしさ。そんな魅力を知るごとに、野菜や食べ物の絵を描くのが楽しくなりました。
畑で野菜を育てるのは、人の手はもちろん、土や太陽や水や風が、またあるときはハチのような虫の協力が必要です。手間をかけて作った野菜が私たちの栄養になっているということが楽しく伝わる絵本ができたらいいなぁと思っていました。それが「はたけのごちそうなーんだ?」シリーズのあきとふゆ、はるとなつの誕生につながっています。
最近、保育園や幼稚園、小学校で菜園を作るところが多くなってきました。自分たちで作ると、苦手な野菜もよく食べると聞きます。一方で、畑を見たことがない子どもや食に興味のない子どもも多いと聞きます。いつも食べている野菜がどのように作られているのか、絵本を通して知ってもらいたいです。
この本の動物たちと一緒に、クイズに答えながら畑を疑似体験して、もじゃもじゃごろごろ、擬音語、擬態語を楽しみながら、読んでください。また、本文にでてくる料理を後ろの見返しにあるレシピを参考に作ると、より野菜を身近に感じられます。子どもも大人も野菜のことを楽しみながら知って、食育にも役立ててほしいです。
●既刊に『あきとふゆ はたけのごちそうなーんだ?』『シャガールおじさんとねこのビビ』など。
アリス館
『はるとなつ はたけのごちそうなーんだ?』
すずきもも・作 有村利治・監修
本体1,400円